車イスで街にくり出そう_札幌

車イス使用者が札幌市を中心に地域活動するのに有用な情報を提供します。

30 車イスで公園にくり出そう_札幌

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1 車イスで楽しめるな公園などが方々にあります

2 公園などの活動環境を情報化する理由

3 調査対象の公園など

4 公園などにおける活動環境の情報化の考え方

5 調査機材と調査方法

   
1 車イスで楽しめる公園などが方々にあります

 通常の暮らしから車イス生活になると外出に対し消極的になり、活動環境や人的環境だけでなく自身の心の中にも障壁が生じがちです。他者の目に触れず、お定まりの行為を繰り返せる、安心な住まいにこもりたくなる人もいます。しかし、日々負荷の少ない空間でばかり暮らすと心身ともにストレスが軽い一方、「使わない機能は日々衰える」のことわりに従い心身の機能低下を加速させます。他方、公園などの野外施設でバリアフリー化が進み、車イスで活動できる場所が増えました。ただ、健常な人なら何ら情報なしに出かけられる公園も、車イス使用者にはエリア内での一連の活動への安心や出かける動機づけが必要です。そんな観点から31 公園の紹介動画検索にて私が楽しめた公園などを紹介します。

(1) 身体に障害を負っても、衰えても楽しめる場所が増えつつあります
 1990年以降は法令の整備などもあり、車イスで楽しめる施設や場所が増えました。ただ、そんな環境を必要とする人々に、車イスでの使い勝手や魅力があまり伝えられていないことが課題です。

(2) 利用の楽しさを知らないことは残念、知られないことはもったいない
 能力障害があっても使えるように整備した公園などが必要とする人々に知らなれければ、屋外で活動したいと思っても行動を起こせません。また、せっかくのバリアフリー化も使われなければ宝の持ち腐れになります。外出したい人々には安心を届け、引きこもる人には魅力を伝える情報が施設の活用につながります。

(3) 各施設や場所のサービスを可能態から現実態に
 バリアフリー環境が整うことは活動環境が機能障害のある人が使える「可能態」に整っただけで、多くの人々が普通に使う「現実態」に移行させることが必要です。そのため、外出をためらう人の背中を押す情報づくりが肝要です。

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2 公園などの活動環境を情報化する理由

 公園など活動環境が地形の影響を免れられない場所では、路面状況、坂路や移動距離などにより普段と異なる所作、活動や肉体的負荷があります。そこで、車イス生活者は活動の多くが自立する住宅の居心地がよく、活動環境などをよく知らない場所への外出に敷居が高まります。情報が乏しく起こりうべき困難が予測できない場所での活動に対し、多くの人が不安や懸念を感じるからです。他方、普段しない所作、姿勢や肉体的な負荷が適度な範囲なら、心身の活性化に役立つ面があります。外出時の活動に伴う肉体的な負荷やその制御をあらかじめ想定できる情報提供が得られるなら、閉じこもりがちな人々の外出への敷居を低くできると考えました。従来のトイレを中心とする点の情報では安心を得られず、さりとて面の情報づくりには限界があるので、公園などの主要な動線沿いの活動環境を動画で表現しようとするのが今回の試みです。

(1) 人工環境に偏る生活に変化をもたらす外出
 人工環境ばかりで過ごす日々の暮らしを離れ、公園などの野外でする活動が癒しをもたらします。人工的に作られた公園などでも、自然の息吹が感じられる場所もあります。

(2) 自宅での日課にない所作の多い外出
 公園など屋外での活動には住宅からの移動を含め、ルーチン化する日常ではとらない多くの所作や肉体的な負荷があります。それは車イス使用者が楽しみながら無意識のうちにできるリハビリで、心身全体に効果がおよぶだけでなくストレスなしに長く続けられます。

(3) 見え難い活動障壁のある公園などへの外出
 これまでのバリアフリー情報は障害者用トイレや専用駐車スペースの有無程度で、実際に活動する際の障壁や難度などについての情報はありませんでした。そこで、動線沿いの活動障壁や場の魅力を伝える情報が有用と考えました。

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3 調査対象の公園などと活動障壁の紹介

 このブログでは公園の利用動線に沿い車イスを移動し、そこにある移動障壁や移動負荷について動画を交え紹介します。ただ、すべての公園について調査することは現実的でないので、非日常を楽しめそうな公園などを選び、実際に訪れ情報化しました。ここに、公園などのなどに含まれる施設は、広さがあるも条件次第で車イスで利用可能でかつ、魅力的と感じられそうな、例えば動物園や植物園などを考えました。

(1) 調査対象とした公園など
 調査対象の公園などを選ぶのにまず障害者用トイレがあること、ついで車イス使用者が訪れやすいことを必要条件としました。そして、独りでも同行者と一緒でも皆が楽しめることを十分条件と考え、札幌市公園検索システムの情報を参考に選びました。

(2) 調査対象の公園などに見られる活動障壁

 公園などの利用において身体的負荷となる主な要件に、地形勾配と広さとを考えました。屋外に広がる公園などの園路には何がしかの縦断勾配がつきものです。また、多くの人が集まる公園は広さがあり、持久力が必要で負荷として作用します。調査中の公園などを上の2要件の難易度のマトリックスに整理したのが次表です。

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4 公園などにおける活動環境の情報化の考え方

 公園を実際に訪れたとき、移動負荷となるいくつかの要因が相互に関連することがわかりました。能力障害の幅広い人々に使用環境について情報提供する上で、それらの要因について整理して情報化することが肝要と考えます。屋外における移動負荷はいくつもの要因の総和と考えられますが、個々の要因について取り上げます。

(1) 起伏や傾斜の影響
 園路の縦断勾配は見て感覚的にわかる移動障壁ですが、身体能力や日常生活の送り方により縦断勾配に対する適応力や感じ方が異なります。この情報サイトでは一連区間の活動を支配する斜度を実測し、いくつかの難易度に分けて表現します。

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  ここに、縦断勾配の5%と8%との区切りは国土交通省都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」(平成20年1月)の指針によりました。つまり、5%は通常園路の上限勾配、8%が「特別の理由により止むを得ない場合」の上限勾配です。それ急急勾配の区切りは路面が固く平坦な坂路での私の車イス操作具合との関係で区切りました。

(2) 坂路の延長の影響
 坂路を上り下りする際に、縦断勾配の緩急とともにその継続距離が移動障壁の難度に影響するので、勾配と一緒に表現します。

(3) 平坦地の時間距離、感覚距離
 起伏が少なく広い場所では距離を示されてもピンときません。そこで、私が調査した折の所要時間を示し、利用者それぞれが日常の活動と比較して難易度や支援者の同行の要不要を判断する材料にと考えました。

(4) 路面抵抗について
 現地を訪れると園路の路面材料が色々あり、それぞれに異なる走行負荷があります。たとえば、アスファルト舗装、コンクリート舗装、ゴム系の弾性舗装ほかで、それが経年劣化しています。また、路面に砂利敷き、豆砂利敷き、木チップ敷きもありました。園路から外れると未舗装、踏み分け道や芝生などもありました。それぞれの路面の走行抵抗の経年変化が千差万別であり、これもまた共有すべき情報と考えました。

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5 調査機材

 調査の使用機材は次のとおりです。

(1) カメラ:GoPro 7 black

(2) ジンバル:Hohem iSteady Pro

(3) 勾配の計測器:デジタルレベル ムラテックKDS DL-60IP

(4) ペンタイプマップメータ:小泉測機製作所 CV-10

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情報提供:NPO 環境福祉支援サービス プラスアルファ
企画・調査・製作:環境複合研究所