車イスで街にくり出そう_札幌

車イス使用者が札幌市を中心に地域活動するのに有用な情報を提供します。

35b 屯田防風林

      目   次

1 公園の概況

2 公園の特徴

3 サービス施設

4 車イスでの歩き方
  ー 早春の動画 2021年
  ー 初夏の動画 2019年
  ー 7月 ウバユリ 2022年
  ー 紅葉の動画 2019年

 
1 公園の概況

所在地(グーグルマップ)
 札幌市北区屯田1条2丁目から5条12丁目
《 場所の特徴 》
 北海道の屯田兵による農地開拓のおり、農作物を強風から守るため残した自然林が防風林の元になります。当該防風林は新琴似屯田兵村と篠路屯田兵村との境界でしたが、現在も前者が札幌市新琴似、後者は屯田として町名に使われています。防風林としての整備に当初ポプラが植えられたのが成長、両側にある通りは「ポプラ通」と呼ばれます。戦後にヤチダモやシラカバなどが植えられるなど整備が続けられ、航空写真でも住宅街にくっきりと緑地帯が見てとれます。

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《 活動障壁 》
 防風林は散策的な利用や広場での休憩が主と考えられ、移動環境が障壁の活動負荷の軽重に影響します。散策路の移動障壁としては一般的に縦断勾配、路面抵抗と移動距離とが考えられます。
 散策路の縦断勾配は一帯が石狩川の氾濫原で全体に起伏の少ない場所なので、地形による急傾斜や長い傾斜などがありません。全体的に起伏が少ないので勾配による負荷が小さいのですが、部分的に勾配の急な箇所があるので進む先を見てのルート選択が大切です。
 散策路は全域にわたりほぼ二筋あり、一方は人為的に整備された散策路、他方は自然にできた踏み分け道と思われます。前者は幅1mほどにウッドチップを敷き詰めてあり、利用者の関節への負担を軽減します。ウッドチップが砕け土が混ざると硬くなと補修するようで、そんな区間では車イスの前輪と後輪とが沈み込み移動抵抗が増大し難儀しました。ときを経て表層路面が締まり移動が楽になるころにはまた補修されるので、車イスでの利用は想定外なのかもしれません。後者は路面が比較的平らで固く締まりまっており、車イスでの走行負荷が小さい区間が長くありました。ただし、両側から草が道を狭める区間や木の根が横断する箇所では前輪が引っかかるので、急減速による落車の防止に注意が要ります。これら並走する通路の移動負荷の少ないルートを選び通ることが肝要です。
 区間距離は全体を往復すると4.4㎞ほどになるので、自分の体力に合わせての利用が大切です。私は調査のために往復するだけで約1時間半を要しましたが、途中で草花や鳥や樹木を愛でるならもっともっと時間がかかります。移動を助けてくれる同行者たのむかなどを含め、事前の準備が必要な場所です。

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2 公園の特徴  当該防風林は1966年に両脇のポプラ通を含め、面積27.5ヘクタール・延長2.2キロメートルが風致地区に指定されました。防風林は3本の道路で4ブロックに区切られますが、3ブロックが延長約600m、1ブロックが330mで幅がおよそ60mです。防風林の中に散策路が整備されましたが、昼もなお直射日光が届きにくい中多くの下草が自生するのが見られます。オオウバユリ、エゾエンゴサク、ミヤマエンレイソウに関しては保護区域が設けられています。

 防風林の樹林は人工的な整備になりますが、都市公園などと異なり自然の勢いの感じられる人工の樹林です。幅60mほどの樹林帯の両側に住宅街がありますが、夏場は緑陰の隙間にちらつく程度で、日常を送る人工環境と異なる空間が呼吸を深くさせます。また、各ブロック内に交差する道路がないので、散策者はそれぞれのペースで歩み、走り、探索し、自分の世界に没入ても事故などの心配がありません。

《 公園の概況 》
第1ブロック 延長約 680m
 同ブロックは当該防風林の西端にして、屯田西公園の駐車場に隣接しており、自家用車で訪れたら散策の起点になります。散策路は基本的に直線ですが、植えられた種々の木の間をぬって走るので、飽きることがありません。

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第1ブロックの概況図
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初夏の散策路        晩秋の散策路

第2ブロック 延長約 600m
森の入り口付近にシラカバの並木があり、その先に水辺が整備してあります。水辺脇にウッドデッキのテラスがあり、休憩する空間にしつらえてあります。夏に訪れた折には水鳥がなん羽か水面を移動する姿がありました。

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第2ブロックの概況図
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初夏のシラカバ並木        晩秋の散策路

第3ブロック 延長約 600m
このブロックの西端に公衆便所があり、障害者用ブースもあります。散策路のちょうど中間地点付近にあり、長時間滞在することになっても安心です。

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第3ブロックの概況図
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初夏の散策路        晩秋の散策路

第4ブロック 延長約 330m
当該防風林の東端にあり、他のブロックの半分ほどの延長です。下草にオオウバユリの群生が見られ、ポプラの老木が荒々しい樹皮につる草をまとい、防風林が存在し続けたときを感じられます。

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第4ブロックの概況図
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《 公園の利用者 》
 2019年に春、夏と秋に防風林を往復しましたが、散歩する人、ジョギングする人、犬に散歩させる人や自転車で通る人を数多く見かけました。また、木、草花や鳥を見ながらゆっくりと歩く人もおりましたが、前方に見通しがきく上に二筋の園路が伸びるので譲り合いながら行き交う様子が見られました。車イスで移動する道すがら、多くの人が道を譲ってくださいました。

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3 サービス施設

(1) 駐車場
 76台駐車可能 (うち2台身障者用)

(2) 公衆便所
 障害者用トイレは屯田西公園の遊具広場隅第3ブロック西側との2箇所にありました。

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4 車イスでの歩き方

《 アクセス 》
 新琴似地区の北側や屯田地区なら南側に住む方々には、防風林のある側に進めばどこかから入り込めます。徒歩圏外からであれば屯田西公園の駐車場まで自家用車を使うのが便利です。駐車場脇の遊具のある広場には障害者用トイレがあるので、公園をゆっくりと散策しても前後に使えるので安心です。

《 公園内の園路》初夏の散策動画 秋の散策動画 
 2019年に同地を3度訪れましたが、1度目は補修された散策路を通ったために帰路は疲労困憊でした。ただ、散策路の雰囲気は普段暮らす固く直線だらけの環境と対極であり、心身をリフレッシュする時間を過ごしました。あとの初夏と秋の2度は踏み分け道の路面が固く木の根の露出の少ない区間を選んだので、初回より楽でしたが、それでも移動だけで1時間半を要しました。私は全区間を調査することが訪問の目的でしたが、散策を楽しむのであれば途中で引き返すなり、途中からポプラ通りの舗装路に出るなりすれば楽に移動できます。

 

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情報提供:NPO 環境福祉支援サービス プラスアルファ
企画・調査・制作:環境複合研究所