35e 北海道開拓の村
1 開拓の村の概況
2 開拓の村の特徴
3 サービス施設
1 公園の概況
《 所在地 グーグルマップ 》
札幌市厚別区厚別町50-1
《 場所の特徴 》
開拓の村は札幌市域の東側、野幌丘陵の縁で石狩平野と接する辺りに位置します。村の西に広がる低平な区域に住宅街が張り付き、東は平地林である野幌原生林が残る台地です。主な展示物がある台地区画は起伏が少ないのですが、平野側に近づくにつれ標高が下がる傾斜地になります。
《 活動障壁 》
村内は市街地群、漁村群、農村群と山村群にゾーン分けて展示があります。面積が最大の市街地群の中心部をアスファルト舗装の園路が貫き、その両脇に建物が並びます。園路の縦断勾配が5%ほどが続く区間がありますが、路面が平滑なので車イスの操作が楽です。ただし、市街地群の一部展示(50や31)が台地の下にあり、市街地と結ぶ園路がひどく急で長く坂路の上り下りが危険なので、支援者が同行しても見学を勧めません。漁村群の園路は砂利が路面に浮き出ており走行抵抗が大きいので、5%の坂路を下る向きに経路をとるのが楽です。市街地の南側に続く農村群の園路はアスファルト舗装で、縦断勾配が緩いので楽に移動できます。その西側に広がる区画の園路は非舗装(アスファルト舗装が崩壊したように見える)で、縦断勾配が5%を越える急勾配もあるので、車イスの単独行にはかなりの健脚(腕)者むきです。なお、山村群は段差や急勾配の踏み分け道で車イスでの見学は無理です。
2 建造物の展示
開拓の村は54ヘクタールの敷地に北海道開拓時代の建築物52棟を移築ないし再現し昭和58年(1983年)に開かれ、往時の北海道の先端的な建物が多く見られます。公的建物および大きな商家、農家や網元の住居等が移築ないし再現され、洋風建築や古民家が開拓時代の風情を伝えます。
《 主な展示建築物》
市街地群
1 旧札幌停車場 -- 1908年(明治41年)(再現)
2 旧開拓使札幌本庁舎 - 1873年(明治6年)(再現)
3 旧手宮駅長官舎 - 1884年(明治17年)
4 旧開拓使爾志通洋造家 - 1878年(明治11年)
5 旧福士家住宅 - 明治時代
6 旧松橋家住宅 - 1897年(明治30年)
7 旧有島家住宅- 1904年(明治37年)
8 旧浦河支庁庁舎 - 1919年(大正8年)
9 旧小樽新聞社 - 1909年(明治42年)
10 旧開拓使工業局庁舎 - 1877年(明治10年)重要文化財
11 旧北海中学校 - 1909年(明治42年)
12 旧龍雲寺 - 1893年(明治26年)
13 旧札幌警察署南一条巡査派出所 - 1911年(明治44年)
14 旧島歌郵便局- 1902年(明治35年)
15 旧山本理髪店 - 大正末期
16 旧渡辺商店- 大正後期
17 旧浦河公会会堂- 1894年(明治27年)
18 旧来正旅館- 1919年(大正8年)
19 旧三ます河本そば屋 - 1909年(明治42年)頃
20 旧武井商店酒造部 - 1886年(明治19年)頃
21 旧近藤医院 - 古平郡古平町 - 1920年(大正9年)
22 旧近藤染舗 - 旭川市 - 1913年(大正2年)
23 旧武岡商店 - 1898年(明治31年)
24 旧大石三省堂支店 - 1907年(明治40年)頃
25 旧太田装蹄所 - 大正後期
26 旧藤原車橇製作所 - 1903年(明治36年)
27 旧本庄鉄工場 - 1897年(明治30年)頃
28 旧広瀬写真館 - 1924年(大正13年)
29 旧札幌拓殖倉庫 - 1907年(明治40年)
30 旧札幌農学校寄宿舎 - 1903年(明治36年)
31 旧札幌師範学校武道場 - 1929年(昭和4年)昭和4年
漁村群
32 旧土谷家はねだし- 1887年(明治20年)頃
33 旧青山家漁家住宅 - 1919年(大正8年)
34 廊下(再現)
35 旧秋山家漁家住宅 - 1920年(大正9年)
農村群
36 旧山本消防組番屋 - 大正後期
37 旧若狭家たたみ倉 - 江戸末期築
38 旧ソーケシュオマベツ駅逓所 - 1907年(明治40年)頃
39 旧田村家北誠館蚕種製造所 - 1905年(明治38年)
40 旧農商務省滝川種羊場機械庫 - 1921年(大正10年)
41 旧納内屯田兵屋 - 1895年(明治28年)
42 旧山田家養蚕板倉 - 1881年(明治15年)頃
43 旧信濃神社 - 1897年(明治30年)
44 旧岩間家農家住宅 - 1882年(明治14年)
45 旧河西家米倉 - 1897年(明治30年)頃
46 旧樋口家農家住宅 - 1897年(明治30年)
47 旧小川家酪農畜舎 - 大正後期
48 旧菊田家農家住宅 - 1893年(明治26年)頃
49 開拓小屋(再現)
山村群
50 森林鉄道機関庫(再現)
51 旧平造材部飯場(再現)
52 炭焼き小屋(再現)
《 管理施設》
入場口、管理棟(1 旧札幌停車場)
ビジターセンター(2 旧開拓使札幌本庁舎 )
《 その他施設》
馬車鉄道の鉄路が入村施設を起点に市街地群から農村群にかけて敷設され、来村者が有料で乗車できます。
入村施設 1旧札幌停車場 馬車鉄道
漁村群 33旧青山家漁家住宅 農村群 47旧小川家酪農畜舎
《 公園の利用者 》
何度か訪れた際には幼児や児童、生徒の集団、海外からの観光客、家族連れや老人のグループなどが多く見られました。
3 サービス施設
(1) 駐車場
開拓の村は野幌丘陵の上にある旧札幌停車場から入村します。一般駐車場に障害者向けスペースのマークがありますが、平地側にあるので長大な坂路を上らねばなりません。また、専用駐車場が台地側にありますが、旧札幌停車場の入口広場に向かう連絡通路がにわか作りで、縦断勾配が15%と急な上に狭いので身体能力次第で落車の危険のあります。なお、駐車場の利用時間は5~9月は8時30分~17時30分、10~4月は8時30分~17時の由です。
車イスでは落車危険水準のすり付け勾配
(2) 公衆便所
市街地群 1旧札幌停車場,2ビジターセンター,7旧有島邸隣,28旧広瀬写真館隣
漁村群 群落のはずれ
農村群 47旧樋口家隣
(3) 飲食等施設
有料区域に入り右手に「開拓の村食堂」があるほか、農村群入口に「北のふるさと」(軽食:夏期間のみ営業)があります。開拓の村食堂は約200席あり、個人客から団体までご利用できます。
(4) 休憩施設
村内の芝生の上やベンチで食事ができます。また、管理棟(1 旧札幌停車場ホール)やビジタセンター2階ホール(2 旧開拓使札幌本庁舎)で飲食できます。
4 車イスでの歩き方
《 アクセス 》
公共交通機関なら最寄りのJR森林公園駅から徒歩20分ほどの由ですが、途中に坂路があり車イスの自走は相当に大変です。JRの駅からバスの連絡がありますが、低床バス等の運行状況はわかりません。
自動車で訪れるのが現実的ですが、新札幌からタクシーで乗車時間約10分ほどでの由です。
《 車イスでの利用》舗装園路をまわる動画
調査は旧札幌停車場の前に広がる市街地群から漁村群を通り、農村群をまわり市街地群でも台地の端にあるゾーンを経て、車イスで辿れる区画をほぼ全周しました。建造物の内部に入れたのは3箇所で、他にも玄関にわたし板のある建物が何棟か見られました。映像にはありませんが、それらの建物は玄関土間から往時の内部の様子を伺うことができます。
情報提供:NPO 環境福祉支援サービス プラスアルファ
企画・調査・制作:環境複合研究所