35a 旭山記念公園
1 公園の概況
2 公園の特徴
3 サービス施設
4 車イスでの歩き方
ー 5月 ヤエザクラと水あそび 2022年
ー 5月 春の森 2021年
ー 6月 ユニバーサル園路 2019年
ー 7月 ユニバーサル園路 2022年
ー 8月 自然林と都市公園 2019年
ー 10月 紅葉の森 2019年
1 公園の概況
《 所在地 》
札幌市中央区界川4丁目1
《 場所の特徴 》
旭山記念公園は札幌市の中心市街からほど近い住宅地にあり、札幌市の北に横たわる山地の裾野に広がります。同公園は傾斜地を覆う自然林の中まで誰もが歩きやすい園路を伸ばし、身体能力の幅広い人々が入れます。車イス使用者が楽しめる施設はほとんどが人工環境で、自然公園となると遠目に望むのが精一杯ですが、本公園は車イスで散策できる自然林ルートが楽しみどころです。
《 活動障壁 》
旭山記念公園の活動障壁は地形由来であり、山裾の斜面が園路の縦断勾配を支配します。この公園では駐車場を起点に、展望テラスや自然林を通り、戻る周回ルートの縦断勾配を最大5%ほどにとどめ「ユニバーサル園路」と称します。国土交通省はバリアフリーの通路勾配を5%までとしており、このルートはそれを守るので上の呼称を用いるものと推測します。この条件なら介助の必要な障害者も同行者ともども楽しめます。
2 公園の特徴
《 都市公園と自然公園とのハイブリッド 》
この公園は山裾にある特徴を生かし、都市公園と自然公園とのハイブリッド的な特徴を持ちます。つまり、段状テラスや噴水のある都市公園と自然林を散策でき、自然公園とのサービスを提供します。自然林内に都市公園的な園路が伸び、面の自然公園と線の都市公園とのハイブリッドです。加えて、園路の整備にあたり縦断勾配の抑制や舗装など、幅広い身体能力の人々が入りやすい配慮があります。
《 公園の特徴 》
車イスでの利用法から公園は二つのエリアに分けられます。第一がユニバーサル園路が伸び、手だれの車イス使用者なら独りで楽しめ、支援者が一緒の障害者なら楽に回れるエリアです。ただし、後者は屋外での介助に慣れた支援者と同行が望まれます。一般的な都市公園にない手付かずの自然林をまわれるので、障害者だけでなく同行者も一緒に楽しめます。また、夜なら駐車場から園路を少し上るだけで、札幌市街の夜景を眼下に望むステージに出られます。利用者は自らの身体能力や同行者の支援能力、および季節、天候や気分で散策ルートや楽しみ方を選べるのもうれしいです。
《 公園の利用者 》
このブログでは車イス使用者に注目しますが、幅広い身体能力や属性の人たちが自然林を散策する姿があります。調査中に老人、幼児の手を引く家族、赤ん坊を乗せプッシュチェアを押す婦人、犬の散歩をする人などが、重い思いのルートを自分のペースで散策する姿が見られました。また、カメラにマクロレンズや望遠レンズをつけ、木々や草花、鳥などを撮影する人々も季節ごとに見られました。利用者には都市公園的な整備で自然森を楽しめる人もいます。
3 サービス施設
(1) レストハウス
公園のホームページによると2019年は4月27日(土曜日)から営業を開始、11月4日(月曜日)まで毎日10時から17時まで開ける由です。施設内に休憩スペース、授乳室や障害者用トイレがり、車イスの貸出もするとあります。また、軽食、コーヒーやソフトクリームを販売する売店もあります。
(2) 公衆便所
障害者用トイレは次の4箇所を確認しました。
レストハウス、レストハウス裏の陸橋付近、ピクニック広場、第二駐車場
(3) 駐車場
無料、利用時間(午前6時~午後10時)、2か所合計119台
4 車イスでの歩き方
《 アクセス 》
公園のホームページによると公共交通機関によるアクセスは、地下鉄東西線円山公園駅から、JR北海道バス旭山公園線(円13)で約15分、旭山公園前下車、レストハウスまで徒歩約4分とあります。ただ、徒歩4分の区間が急な上りの車道なので、自家用車か営業車で訪れるのが安心です。
《 ユニバーサル園路 》ユニバーサル園路をめぐる動画
本公園の「ユニバーサル園路」は、別図のA⇨B⇨C⇨D⇨E⇨F⇨G⇨H⇨Aです。このルートは最大縦断勾配がほぼ5%までです。駐車場から森の家までの園路面は硬い舗装路面で、後半の陸橋から森の家にかけ最長の連続坂路で、縦断勾配5%、200mの上りですが独りで上れました。森の家から駐車場はおおむね下りで、アスファルト舗装、木道や弾性舗装があります。弾性舗装は2019年現在で表層が劣化し、浮き出た砂利に車イスの前輪がとられ走行抵抗がかなりありました。さらに、劣化した弾性舗装と異なる舗装材料(アスファルト舗装、木道や弾性舗装)との変わりめに注意が要ります。このルートは左右どちら回りでも最大縦断勾配は同じですが、車イスには劣化した弾性舗装区間の大部分が下りになる時計回りが楽な順路です。調査時の所要時間は下表のとおりです。
《 自然公園と都市公園とを散策するルート 》
一般園路は同行者がいれば多くを楽しめそうですが、紫矢印のあるルートは危険です。自然と都市の両エリアを回るのならまずユニバーサル園路をたどり、栗の木デッキ脇の分岐から一般園路を経由してピクニック広場や噴水広場に向かえます。ただ、分岐後は縦断勾配8~10%、延長150mほどの急な下りが続き、車イス上で身体を後傾させて全身での制動が必要でした。急な下りのあとに縦断勾配8%、延長40mほどの上りがあり、私の登坂能力の限界で上体を前に倒し全力で漕ぎました。このルートに入ったら急勾配の下りや上りを回避するルートがなく、かつ戻るにも急にすぎます。最後の噴水広場からレストハウスまでは勾配5~8%、延長250mほどの上りで、ただただ持久力と忍耐力とが必要でした。このルートの所要時間は次表ほどです。
企画・調査・制作:環境複合研究所