車イスで街にくり出そう_札幌

車イス使用者が札幌市を中心に地域活動するのに有用な情報を提供します。

35c 大学村の森

      目   次  

1 公園の概況

2 公園の特徴

3 サービス施設

4 車イスでの歩き方
 ー4月 クロッカス 2022年/2週, 2022年/3週
 ー4月 早春の野草 2020年, 2021年, 2022年 
 ー5月 春の森 2021年
 ー6月 初夏の森 2022年
 ー9月 夏の森 2020年
 ー10月 秋の森 2019年
 ー11月 晩秋の森 2021年

5 蛇足

1 公園の概況  

所在地(グーグルマップ) 
 札幌市東区北28条東4丁目5−1
《 場所の特徴 》
 公園の看板「大学村の森周辺の成り立ち」によると、この周辺は自然堤防、扇状地砂丘に囲まれた低湿地でした。公園の一画は明治以降の土地改良や埋め立ての改変をまぬがれ今日に至り、ハンノキやハルニレなどの低層湿原時代の樹木が残ります。また、林床にニリンソウエゾエンゴサクキバナノアマナなども湿原周辺植物が見られる由です。

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巨木の周りに落ち葉        空を覆う幹と枝とは

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時代ものの森と園路

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野草園      ニリンソウ

《 活動障壁 》
 車イスでの活動障壁はほぼ見当たりません。公園のある区画はほぼ水平で人工的に盛られた山以外に起伏がありません。広さは南北の最長辺が80m、東西が50mほどで、車イスでの散策に広すぎず狭すぎずです。また、公園内にはアスファルト舗装や弾性舗装の園路が走り、すべてのゾーンへの移動が容易です。障害者用トイレがあるので、長居しても排泄の心配がありません。ただ、駐車場がなく、地下鉄の最寄り駅から1.5kmほど離れている点が気がかりな程度です。

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2 公園の特徴  

《 公園の歴史 》
 公園の東側にある総合案内板から一部を引用します。「大学村の森周辺は、明治時代から現在の北海道大学の第三農場として使用され、その後北海道大学の官舎があったため『大学村の森』と呼ばれています。昭和57年に札幌市の都市緑地として整備されました。さらに地域の方々の運動を契機に隣接の北海道大学の官舎跡地をとりこんで平成12年度から平成15年度にかけて拡張整備され、面積は約1.8haになりました。」
 公園の成り立ちについては北海道マガジン「カイ」の特集「北海道大学第2農場へ」の中の、「第3農場再生の物語」に詳しくあります。開拓期以降にこの区画に起こったことどもについて丁寧に紹介しており、一読すれば公園の木々や下草への想いが深まるでしょう。
《 公園の概況 》
 総合案内板には公園の利用ゾーンについて下のように紹介があります。配置図は看板の絵をもとに起こしました。
①樹林保全ゾーン:現在あるハンノキや春楡の大木を保全するためのゾーン。
②樹林育成ゾーン:樹林保全ゾーンを保護したりさらに育てるために新たにハルニレやカツラ、ヤマモミジ、コブシを植えたゾーン。
③広場ゾーン・遊戯ゾーン:活動的な利用のために山や遊具を配置したゾーン。
④修景ゾーン:公園整備前から人の手によって植えられていた植物を生かしつつ、他のゾーンの景観との調和を図ったゾーン。
⑤エントランス:公園の顔となる入り口広場。
⑥野草園:かつて野草が生育していた土地の土壌を取り込んだ、エゾエンゴサクキバナノアマナなどの野草の生育を期待するゾーン。
⑦説明板:大学村の森の由来について書かれています。

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公園内のゾーン分けと園路

《 公園の利用者 》
 この公園は車イス使用者を含む障害者だけでなく、子供から老人まで誰もが楽しめる公園です。つまり、親子や三世代で訪れてもそれぞれが自らの関心と感性で楽しめる魅力を備えます。また、この区画のたどった歴史を知れば樹木の生きてきた時代に想いを馳せられ、公園の楽しみ方の奥行きが増します。

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3 サービス施設  

(1) 公衆便所
 公園の西側に障害者用のブースを備えた公衆トイレがあります。
(2) 駐車場:なし

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4 車イスでの歩き方  

《 アクセス 》
 地下鉄の駅からは3ヶ所とも徒歩で20数分の距離にあります。いずれのルートも大きな坂がありませんが、車イスで往復するには少々距離があります。
 地下鉄「北34条」駅から1.5km,徒歩約23分
 地下鉄「北24条」駅から1.6km,徒歩約22分
 地下鉄「元町」駅から1.8km,徒歩約26分

《 公園の歩き方 》早春の動画

 この公園は決して広くなく、どのように回ってもすべてのゾーンがまわれます。木々は人の背丈よりも高い位置の枝や葉を張り、目の高さは木々の幹以外に遮蔽物があまりありません。そこで視点を少し移動させれば公園内の隅々に目に届き、園路が程よく整備されているのでお好みのルートをたどり休めます。また、早春は林床に春のはかなき花たちが一斉に花をつけ、木々の葉がみずみずしい緑から濃い緑になり、赤や黄色に色を変えて落ちるまで、季節ごとの風情をたのしめます。

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5 蛇足  

 この公園は札幌市の公園検索システムで障害者用トイレがある条件で見つけ、位置情報を頼りに予備知識なしに訪れました。調査目的は障害者用トイレの存在と設備内容との確認でしたが、公園が都市公園の利便性を備える一方、木々が圧倒的な存在感を放つことに息を呑みました。つまり、地上は園路が縦横に走る都市公園なのですが、園路の間近に巨木の太い幹が立ち上がり、見上げると枝や葉の間から空が覗きます。また、日差しの遮られる林床にはびっしりと、勢いの良い下草が見られました。この一画は周辺の住宅地とは異なる時空間が感じられ、そこに身をおくと深く感じ入るものがありました。車イスでそんな樹々に近づけ、安心に過ごせる公園の存在を多くの方々に知っていただきたく思います。本文でいくつかの引用文を紹介しましたが、それらを読むほどにこの公園がいまあることに感謝の念を禁じ得ません。

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情報提供:NPO 環境福祉支援サービス プラスアルファ
企画・調査・制作:環境複合研究所

 

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