車イスで街にくり出そう_札幌

車イス使用者が札幌市を中心に地域活動するのに有用な情報を提供します。

35f 月寒公園

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1 公園の概況

2 公園の特徴

3 サービス施設

4 車イスでの歩き方
 ー あそび場と高台とをめぐる動画
 ー ボート池をめぐる動画
 ー 暮秋の動画

5 蛇足


        1 公園の概況
所在地(グーグルマップ)
 札幌市豊平区美園11条8丁目1
《 場所の特徴 》
 公園は豊平川扇状地の東端の平岸面と高台地域とにまたがって広がり、周りに住宅が密集する中に両者をわかつ段丘崖付近に森が残ります。高台地域の公園区域は中を流れる望月寒川が台地を削り、2つのゾーンに分たれます。つまり、公園は平岸面に1ゾーンと高台側に2ゾーンとの3ゾーンで構成し、それぞれの区域内で公園機能が一定程度完結します。このブログでは3ゾーンを便宜的に坂下、高台、月寒神社のゾーンと書きます。平岸面の坂下ゾーンにはボート池、スポーツ施設、子ども用の広場とそれらをつなぐ園路があります。高台ゾーンにはスポーツ施設と森の散策路、月寒神社ゾーンには子ども用の広場と森の散策路があります。
 公園は施設の老朽化により施設の再整備が行われ、2019年に全面完成したばかりです。改修前は坂下ゾーンと高台地域の2ゾーンとを結ぶ園路の縦断勾配が急で、車イスでの移動は介助者と一緒でも危険でした。しかし、改修後の案内図に「ゆるやかなのぼり坂」が坂下ゾーンと高台地域の2ゾーンとを結んでおり、移動制約者への配慮があるようでした。

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坂下グラウンド
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ボート池              遊具広場
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蛇行する園路              散策の森

《 活動障壁 》
 この公園は段丘の境界部に標高差が大きいことと面積が広いことが、車イスでの活動への肉体的な負担になります。ただ、3ゾーンそれぞれに障害者用駐車スペースがあるので、それぞれゾーン内に起伏があるも車イスで利用できます。他方、3つのゾーンの間は崖や川がへだてる上、「ゆるやかなのぼり坂」も縦断勾配がきつい区間があり、坂路の延長も長いので車イスでの単独行はかなり骨が折れます。また、坂下ゾーンの高台ゾーンとの境に一段高い利用区域があり、そこに至る園路は縦断勾配が5%弱ですが延長が長いのでキツく感じる人もいそうです。

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        2 公園の特徴
《 施設の概況 》
(1) 有料施設(4月下旬〜11月上旬)
 坂下野球場:夜間照明あり
 高台野球場(軟式):夜間照明あり
 テニスコートオムニコート2面):夜間照明あり
 パークゴルフ場(1ラウンド18ホール)
(2) 無料施設(坂下ゾーン)
 ボート池(4月下旬-10月上旬、火曜定休):貸ボートは有料
 多目的広場(夏はボール遊び可、冬はスキーなど)
 すべり台(2基)
 森のあそび場(遊具多数)
 丘のあそび場(大滑り台ほか遊具)
 水の遊び場
(3) 無料施設(高台ゾーン)
 月寒の丘
 散策の森
(4) 無料施設(月寒神社ゾーン)
 歴史の森(散策)
 こどもひろば(遊具多数)
 くつろぎの森(散策)

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月寒公園の施設配置と園路の縦断勾配

《 公園の概況 》
 公園は面積が22haの総合公園ですが、段丘崖付近に森が広がります。3ゾーンともに森と広い空間とを活用する公園です。坂下ゾーンの崖下で望月寒川の脇には池があり、貸しボート遊びを手軽にできるのが一つの特徴です。
《 公園の利用者 》
 児童・幼児向けの遊具広場、青少年から高齢者向けのスポーツ施設があるほか、森を抜ける園路や芝生広場など、老若男女がそれぞれ楽しめる公園です。

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        3 サービス施設
(1) パークライフセンター
 市民の活動・休憩拠点となる屋内施設
   売店、多目的トイレ、キッズスペース、展示スペースなど
 利用時間:午前9時-午後17時
 休館日:火曜日(4月-11月)、火曜日、水曜日(12月-3月)
(2) 駐車場
 坂下ゾーン:40台(うち身障者用2台)
 高台ゾーン:83台(うち身障者用3台)
 月寒神社ゾーン:3台(うち身障者用3台)
(3) 公衆便所
 障害者用トイレは次の5箇所を確認しました。
  坂下ゾーン:坂下駐車場横パークライフセンター内森の遊び場横
  高台ゾーン:高台駐車場
  月寒神社ゾーン:歴史の森横

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        4 車イスでの歩き方
《 アクセス 》
 このあたりは起伏の大きい地形なので、地下鉄駅から公園まで車イスの自走で移動できそうなのは地下鉄東豊線美園駅」から坂下駐車場入口までで、徒歩約5分くらいとのことです。自家用車で訪れるのなら3ゾーンにそれぞれ障害者用駐車スペースがあるので、混む時期以外は安心な手段です。
《 公園の歩き方》
 遊び場と高台とをめぐる動画 ボート池をめぐる動画暮秋の動画
 この公園は利用施設やサービス施設が3ゾーンそれぞれで完結するので、施設利用には各ゾーンにある駐車場を起点にすれば比較的楽に活動できます。
 坂下ゾーンを起点に3ゾーンを調査しましたが、動画は子ども向けの遊具広場から「ゆるやかなのぼり坂」の一つを通り高台ゾーンを周り、ふたたび坂下ゾーンに戻りパークライフセンター経由で公園を半周しました(動画あり)。段丘崖の上に至る坂路は急な園路を避ければ、車イスでなんとか上り下りできるルートがあります。自分の関心の向かうところや自走の能力および同行者の有無を勘案の上、あらかじめ散策のルートを考えておくと現地で円滑に行動できます。
 ボート池の周回園路の散策なら坂下駐車場発着が軽負荷で、空のひらけた平岸面と森の迫る段丘崖のいいとこ取りができます。段丘崖側の池沿いに起伏の緩い園路が新設され、車イスでも水面を見ながら楽に回れます(動画あり)。崖に張り付く既往の園路が併行し、そちらは坂路の上り下りがありますが池を俯瞰しながら回れます。後者のルートを選ぶのなら、時計回りすれば縦断勾配がきつい朱色区間が下りになります。
 月寒ゾーンへは調査のために市道を通り行きましたが、蛇足の問題があり動画を撮っていません。そのうち撮影したらアップします。

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        5 蛇足
 このブログは車イスでの活動環境について紹介するもので、その切り口で公園を見るとき園路の一部設計に疑問を覚えました。
《 坂下ゾーン〜月寒神社ゾーンの「ゆるやかなのぼり坂」》
 公園の案内図では月寒神社ゾーンと坂下ゾーンとを「ゆるやかなのぼり坂」が結びます。白破線で囲んだ上部園路はかろうじてバリアフリーの推奨範囲内ですが、白実線で囲んだ下部園路はその上限を越えます。縦断勾配の実測値で説明すると、上部区間は蛇行を繰り返すことで縦断勾配が6%前後です。これは国土交通省の「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」の上限勾配5%を越えるものの、「特別の理由によりやむを得ない場合」に許される8%以下です。他方、下部園路は地形なりに直線で縦断勾配が10%ほどあり、ただし書きの上限勾配の8%を越えます。加えて両区間をつなぐすりつけ箇所は、数メートルばかりですが縦断勾配が26%でした。車イス使用者で単独でこの急勾配を上り下りできる人がどれだけいるか疑問で、介助者がいても危険を覚える勾配です。加えて「ゆるやかなのぼり坂」にこの箇所を避ける迂回ルートがみあたりません。「ゆるやかなのぼり坂」を車イスで上り下りできると考えたのは早飲込みだったようです。

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ゆるやかな上り坂の縦断勾配とすりつけ部26%箇所写真

参考

国土交通省都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」(平成20年1月)
2-2 特定公園施設に関するガイドライン
2-2-1 園路及び広場
第三条 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成十八年政令 第三百七十九号。以下「令」という。)第三条第一号に規定する園路及び広場を 設ける場合は、そのうち一以上は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 出入口は、次に掲げる基準に適合するものであること。 略
二 通路は、次に掲げる基準に適合するものであること。
 イ〜ハ 略
 ニ 縦断勾配は、五パーセント以下とすること。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合は、八パーセント以下とすることができる。
 ホ、ヘ 略

《 坂下ゾーン〜月寒神社ゾーンのステルス・バリア》
 上で縦断勾配の数値をいくつか並べましたが、健常な方々にとり26%の箇所がどんなに感じられるでしょうか。多くが無意識に通り過ぎる一般園路でしかないかもしれません。当該箇所をたまたま通過した子どもと大人の動画から推測いただけます。

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情報提供:NPO 環境福祉支援サービス プラスアルファ
企画・調査・制作:環境複合研究所